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フレスコバルディ、ファンタジア第9番のミステリー
マエストロ・タリアヴィーニ氏が、彼のチェンバロ、オルガン等々の古楽器コレクションを展示している、ボローニャのタリアヴィーニ・コレクション美術館で、手稿譜からモダン譜への書き直しによる、問題点、そして、装飾音についてのマスタークラスを開催しました。
私は、演奏者として参加をしてきました。
本当に興味深いお話が沢山伺え、幸せな一日でした!

マスタークラス内で取り上げられていた、興味深いミステリー(?)の一つ。フレスコバルディのファンタジア第9番のナゾ。

この曲、同じ主題が繰り返されつつ発展されていきますが、ある小節と小節の間が、他の主題とは明らかに違い、なんだか、釈然としないのです。マエストロいわく、これは写譜を間違えたんですね、この小節と小節の間には何かが足りないのです。それは一小節か、一ページかわかりませんが、この曲全ての構成を見れば歴然としています。
確かに示された部分を見ていると、主題が微妙に違います。

昔は、作曲者のオリジナル譜を見ながらコピーをしていたので、曲の途中で、さてお腹がすいたな、等と食事をして、戻って来て、さて、さっきの続きを…なんてやっていたのでしょうね。その際、小節を飛ばしてしまったり、主題を数える回数を間違えたり、と色々なミスが発生し、校正されないまま現在に伝えられている楽譜も多いのです。

教会でも、よく写譜の作業は行われていましたが、あ、お努めの時間だ、等と作業を中断し、お祈りを終えて帰って来て、作業の続きを、なんてページを間違えて写譜し始めてしまったり、とか大いにあったそうです。

とあるオランダの音楽家は、ハイドンが残した主題のみの未完のソナタを、彼の作風を想定して、全て作曲して、ハイドンの作品、として出版したそうです。凄いですね、私はこの作品を聞いた事ありませんが、実にもっともらしく再現されているようですよ。興味深いですね。

また、作曲者のサインのあるオリジナルの楽譜にも間違いは色々あります。それをモダン譜に書き直す際に、腑に落ちない部分を間違いか、はたまた作曲家の意図した事なのか、を見極め、“忠実に書き写す”作業には色々な経験、音楽知識が必要不可欠です。

色々な作曲家のミステリーを解決するのは、とてもワクワクします。マエストロの経験豊かな、確かなる知識に導かれて、私もいま書き起こしている手稿譜のナゾをいくつか解決できて、大満足な一日でした。
by concordanze | 2014-01-20 00:18 | Vita quotidiana 生活

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