ここ数年、秋になると、イタリアのあちこちで大洪水が起きています。
先日は風光明媚な観光地として日本人にも良く知られており、世界遺産の一つでもあるチンクエテッレのうち、特にモンテロッソ、ヴェルナッツァ等が、街の一部が崩れ落ちる、町中水浸し、そして残念なことに、10人の死者、数名の行方不明者を出す大被害を受けました。
そしてトスカーナ地方の北部、ルニジャーナでも大洪水で街が水浸しに。そして昨日はジェノヴァが大洪水に見舞われ、街が水浸しになったというニュース。
そして今日はポー川の水域が増しており、トリノ付近に注意を促すニュースが流れています。
この週末、フェッラーラでも随分と雨が降ったので、北の方でもかなりの降水量であったと想像できます。

ジェノヴァの洪水の様子(写真ansa、La Repbbulicaの記事より)
去年はヴェネト州が大洪水に見舞われました。地球がおかしくなっている?
確かに大雨を避けることはできませんが、実際に大雨によって受ける被害拡大には、単に「天災」ではすまされない要素が含まれているようです。
チンクエテッレで被害が拡大した要素として、建築にそぐった土壌ではない、として建築禁止地域に指定されている場所になぜかコンクリートによる館、ホテルが建てられていたり、去年のヴェネト州の洪水のときも、ヴィチェンツァを流れるバッキリオーネ川の氾濫が原因でしたが、その川の流域の建築禁止区域に、これ又なぜか工場が建っていたりしたこと等から被害が拡大した、ということです。
いったいなぜ、建築禁止区域に、建築物が?
勿論、ご想像の通り、利権の売買が行われているからです。いったい危険な地域に建物を建てて何の利権があるのか不思議ですが、お金が欲しい人、政治的利権の欲しい人等々、このような例は後を絶たず、イタリア中どこでも見られる現象なのはとても残念なことです。
“法律はすり抜けるためにあるもの、法律の都合が悪ければ変えてしまおう”というなんとも利己主義が横行しているのが目につくイタリア。(何と言っても国の首相がいいお手本になってしまっていますから)自然との共存を真剣に考えてほしいなあ、と思います。
そういえば、これ又ユネスコ世界遺産に指定されているポンペイ、去年、ポンペイの一部が崩れ、政府は「雨が降ったからだ。」となんとも訳の分からない言い訳をしていましたが、今年、何の状況改善も見られないのに業を煮やしたユネスコ側が、ユネスコが直接ポンペイの管理をする、とイタリア国に申し出たそうです。ユネスコ創立以来、始めてをみる例だそうです…。イタリアにとって歴史的遺産は重要な宝のはず。このなんともお粗末なニュースにイタリア中あきれています。