ルクレツィア・ボルジャの側近として使えていた詩人、哲学者のエルコレ・ストロッツィ。
彼は1508年の6月6日に、サヴォナローラ通りで、23カ所の刺し傷を負って暗殺されます。
彼に暗殺者を送った者の名は、結局明るみに出る事は無く、事件は謎に包まれたままです。
ある者は、エルコレ・ストロッツィは、ルクレツィアととても近しい関係であり、ルクレツィアの当時の愛人であったフランチェスコ・ゴンザーカ二世との橋渡しをしてたことが、ルクレツィアの夫、アルフォンソ・デステの耳に入り、逆鱗に触れたため殺害されたのだといいます。
またある者はアルフォンソ・デステがエルコレの妻を気に入っていたためだともいいます。
そしてもう一つの説はエルコレがルクレツィアの愛人だったという説ですが信憑性は少し薄いようです。
しかし23カ所もの刺し傷…この23という数字には、ある有名な事件と不思議な一致が見られるのです。
「ブルータス、お前もか…」という言葉を残して暗殺された、ローマ皇帝チェーザレは、23カ所の刺し傷を負って暗殺されました。
政治の変革期に殺害されたチェーザレ、そのチェーザレと同じように殺害されたエルコレ・ストロッツィ。そのため、エルコレの死は政治的に利用されたのだ、ともいわれています。
二人の暗殺事件の類似点は偶然なのか必然なのか‥…?
カーザ・ロメイ美術館で行われたルネサンス衣装をまとっての劇、音楽、ダンスの夕べ。とても興味深いものでした。
事件の要に位置する美しいルクレツィア・ボルジャが多くの時を過ごした、このカーザ・ロメイ美術館で、エルコレ・ストロッツィの残したソネットを朗読し、彼の暗殺された過程の物語をダンスと音楽で再現しました。
来てくださったお客さんはまるでミステリーツアーのようにカーザ・ロメイ美術館内を移動しながらエステ家の謎を追っていましたよ。

出演者全員で。水色の衣装が私です。公爵夫人やお付きの人々に囲まれて、気分はルネサンス!
エステ家のミステリー最終回は11月19日にルドヴィーコ・イル・モロ宮殿にて行われます。ここは主にエトルリア考古学美術館として現在使用されていますが、最近4っつのエトルリア時代の宝飾類を展示した新しい部屋が公開されました。必見ですよ!