土曜日、日曜日は友人フランコの開催した、本の修復講習会へ参加してきました。
色々な、修復にたずさわる技術をかいま見れて、また実際に試してみて、とても楽しかったです。
今回は主に、版画、本の修復についてのコースでした。この他にも製本、その他細かい専門技術についてのコース、製本技術を使って自分でノートを作ってみる、というコースもありますよ。
今回参加したコースでは、まずは西洋における紙の歴史についてお話をしてくれました。
西洋で古くから使用されていた紙、といえば羊皮紙です。
職人さんが一枚一枚羊の皮を削いで作っていました。
しかし、出版物は次第に増え、しかも1100年頃に流行した疫病で羊の数は激減し、
羊皮紙を入手するのは難しくなり、出版物も追いつかなくなります。
そこで東方から主に植物を原材料とする紙の製法がヨーロッパにも普及するようになるのです。

一枚の羊の皮から一枚の羊皮紙
現在でも、主に修復に使用する紙は“日本の和紙”と呼ばれ、和紙の製法により製造された、紙を構成する繊維が長い紙を主に使用しています。繊維の長い紙は、繊維の短い紙に比べ、長期の保存が可能で、紙の天敵である酸化も少ないのです。
残念ながら紙の使用率が上がるにつれて、どんどん紙を構成する植物繊維は、作業工程時間を短くするのに比例して、短くなっていったそうです。そのため、ルネサンス時代の本を修復するのより、現在の紙を修復することも多いそうです。
紙の修復方法にはフィレンツェ様式とローマ様式があるそうで、二つの様式の間には議論が耐えないのだとか…ふふふ。私達はフランコが修得したフィレンツェ様式を学びましたよ。

酸化の激しい本を前にどのような修復ができるかを語るフランコ。

実際に器具で紙の酸化度を計ってみました。

様々な種類の修復に使用する化学薬品、粉のり等。さながらお料理教室?

欠けてしまったページを和紙で補修中。まるで手際の良い手術を見ているようです。

ジャンルーカも本の分解に挑戦!珍しく(?)真剣!

ネズミにかじられた版画の修復にも挑戦しましたよ。
フランコの示すお手本を見ていると何とも手際良く簡単そうに次々と作業が進んでいくのに、実際に自分たちでやってみると…とほほ。職人さんの技術、そんなに簡単にはまねできません。
でも、ああ、自分で修復した!という、何とも言えない達成感が味わえます。
フランコはとっても教えるのが上手。彼の元には研修生がひっきりなしに訪れています。
次回の講習にも是非参加したいとおもいます。