今日はフェッラーラのダイアモンド宮殿で行われた、Breviario di Ercole I D'Este エルコーレ一世の聖務日祷書のファクシミリ版発売記念記者会見に出かけてきました。
エルコレ一世のブレヴィアーリオと言えば、ミニアトゥーラ(飾り文字)、挿絵がふんだんに使用された、とても美しい本であり、彼の時代の芸術作品の代表格として知られています。エルコーレ一世が常に側に置き、大事にしていた本です。
ファクシミリ版ブレヴィアーリオの一頁
今回、数々の歴史書のファクシミリ出版を中心に活動している、Trident Editore社から、エルネスト・ミラーノ博士の指揮により、「オリジナルに忠実に」を合い言葉に、満を持しての数量限定のファクシミリ版が発売となりました。
どのくらい忠実かと言いますと、まず、長い歴史の中で切り取られてどこかの骨董市で売り飛ばされてしまっていた4ページを含めた(最終的にクロアチアで発見されたそうです。近年モデナでミニアトゥーラの展示会をやった際にはお目見えできたそうです。)全ページの完全復刻版であること、また経過した歴史が感じられるように、古い紙質までをも再現した、というこだわりよう!
製本も当時の製法をそのまま再現したそうです。
オリジナルは1939年から、モデナのエステンセ図書館にありますが、この豪奢な本はその美しさ故に、あちらこちらを渡り歩き、相当の人、お金が動いてここイタリアへ戻ってくることが出来たようです。
残念ながら1800年代後半に、切り取られて売られてしまった4ページは、イタリアに戻ってくることは出来なかったようですが、カメラマンの人が精巧なカメラを持って(そのカメラの値段を聞いてびっくりしました。)個人蔵のそのページを撮影に行ったそうです。
いや、説明をしてくれた方は、「カメラを持って行った」ではなく、「カメラを持って乗り込んでいった」と語っていたので、その意気込みが伝わってきます。
また、このエルコーレ一世の聖務日祷書はその芸術価値と、その豪奢さから、当時、この本は権力、財力を誇示するには十分な本でもありました。
父の後を継いだ、息子のアルフォンソ一世は、父亡き後、自分の紋章をこの聖務日祷書のエルコーレの紋章のある上に押し、あたかも自分のもののように所有していたとか。
しかし実は父、エルコーレ一世も兄のボルソ・デステの豪奢な本に自分の紋章を押して、彼亡き後、自分の物のように振る舞っていた、というのでおかしいですね。
興味のある方は是非、
Trident Editore社のホームページを訪れてみてください。こちらから注文も出来るそうですよ。