19日の午後、フェッラーラのアリオステーア図書館にて、友人の本修復士、フランコが図書館の怪物についての講演会を行いました。
アリオステーア図書館古文書責任者のミルナさん、フランコ、生物学者ペザリーニ氏。
図書館の怪物って??
図書館の仕事には、本の貸し出し、観覧以外にも重要なお仕事があります。
それは数限りなくある、歴史的古書の保存、保管業務です。
ここフェッラーラのアリオステーア図書館にも、アリオスト、タッソの作品はもとより、1840年に出版されたマンゾーニの『婚約者』など、多くの貴重なオリジナルが保存されています。
貴重な資料満載の大事な書庫を襲う怪物、それは、寄生虫、そしてカビです。
そんな本の天敵、寄生虫、カビに焦点をあて、どのように本を修復するか、というテーマに沿ったこの講演会、とても興味深かったです。
生物学者のファウスト・ペザリーニ氏もいらして、どんな寄生虫がどんな素材を好物とするか等を、スライドに大写しにされた“怪物”を背景に詳しく説明してくださり、まさに怪物ギャラリーを見ているようでした。
古書は、紙以外にも木、皮、その他天然素材が使用されていることが多く、寄生虫の大好物となっています。また、ちょっとした湿気はあっという間にカビの温床となり、貴重な本を台無しにしてしまいます。
残念にも被害が発見された本は、まず被害状況を調査する科学鑑定に出されます。そこで被害状況を診断されたら、フランコの出番です。調査書を見ながら、図書館の責任者と、オリジナルをどの程度残して、どういった方法で修復をするか、消毒をするか、等を綿密に話し合い、“手術”方法を決定します。時間と技術、経験が必要な作業です。
フランコ、修復の手順を説明。
そして、なんと、残念なことに我々人間も“怪物”になりうる例が多々あるのだとか…。
貸し出した本に線を引く。→公共のものです!問題外。
貸し出した本のページを折る。→ …あまり考えられないけど、いらっしゃるそうです、こういうことをする方。
貸し出した本を指に唾をつけてページをめくる。→バクテリア繁殖の原因となるので絶対にやめましょう!!
国からの限られた、わずかな補助金の中で膨大な貴重資料を必死に守っている図書館。私達もマナーに気をつけてその恩恵にあずかりたいものですね。