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カナパ、忘れ去られた織物

夏です!フェッラーラにも蒸し暑い日々がやってきました。
ということで、今年もソファーにカナパの織物をかけました。


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            競売にかけられてしまったわけではありません…

これは旦那さんがメルカティーノでみつけてきたもの。60年以上前に手で織られたものだそうです!今でもやさしい生成り色で手触りも良く、夏には通気性がとても良く心地よいので愛用しています。

ところでみなさん、“カナパ”ってご存知ですか?私はここフェッラーラで始めて知り合いました。同じような生地に麻がありますが、イタリアでは麻はLino リーノ(リネン)、Canapa カナパ(辞書で見ると、麻、大麻とあります…。)とは分けられています。

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                60年前、誰の手で織られたのだろう…

カナパは歴史上、最初に知られる織物ともいわれています。2000年以上前に中国でカナパによるひも、織物等を生産していた例があるそうです。カナパで作られた織物は麻に似ていますが、麻より更に丈夫で、簡単に摩耗しません。更に虫もつきにくいそうです。長い間使っているうちに風合いの変化を楽しめる、とても使い勝手がよい織物なのです。
吸水性も麻より高く、そのため肌触りも爽やかです。このような特性から、カナパの織物は主にテーブルクロス、ベットカバー等、生活に密着したところで活躍していたようです。

しかし、カナパは一度生産終了に追い込まれました。なぜ?
理由は2つです。50年代に化学繊維が出始めてから、その当時の技術で作られるカナパの織物では採算が取れなくなったこと、そして “marijana” マリファナ(大麻)、という言葉に惑わされてのことです。

カナパはアジア原産の植物ですが、一口に “カナパ” といってもその種類は多種多様です。全てのカナパの種類が直接大麻につながるわけではないのです。カナパの樹脂には 精神錯乱を引き起こす成分(大麻)が含まれているのですが、その成分がかなり高く含まれているカナパ・インディアーノ(インドカナパ)と違い、伝統的にヨーロッパで織物の生産を目的に栽培されていたカナパ・エウロペーア(ヨーロッパカナパ)には、採取できる樹脂からその成分は微量にしか検出できません。
しかし、ヨーロッパ産のカナパの輸入、輸出へかけられる税金がインド産のものに比べ圧倒的に低かったために、織物用に栽培されていたカナパを利用して、大麻生産用に利用しようとするものが後を絶たなかったとか‥…。
このような経過でイタリアでは、結局国より生産は禁止されてしまったのです。

カナパは北イタリアで盛んに栽培されており、当時はロシアに次ぐ第二位の生産国であったそうです。
フェッラーラでは歴史的にポー川流域で栽培が盛んであり、1880年代後半はカナパ輸出の最盛期でした。しかし、カナパの栽培は 少ない賃金でも、朝から晩まで働かねばならなかった貧しい農家の人々の重労働で支えられていたのです。カナパは4メートルから5メートルくらいに成長し、その収穫作業はとても過酷なものであったようです。また、当時のカナパから繊維をとる行程は全て手作業であり、手間と時間のかかる大変な作業で、ほとんどが女性の手仕事だったそうです。 その後1930年頃に生産の衰退が始まり、重なる国からの栽培禁止令で長い間カナパは忘れられていました。

しかし、今再び、第一素材としての効率の良さにスポットが当てられ、 農耕技術の発展と共に研究が進み、また、環境問題関連の団体から、カナパの害虫を寄せ付けない特徴を利用した、無農薬野菜の収穫率アップ、大地の清浄化等の利点を推奨されたりしたことから、カナパ製品は“エコな植物”として注目されつつあるのです。 現在イタリア各地で実験段階としての栽培が再開されています。ここフェッラーラでも試みられているようです。


カナパは捨てるところがほぼ無い植物だそうです。比較的柔らかい部分から繊維を取り出し、固いところからは紙を生産します。とても上質な紙ができます。そして更に固いところは木の代用として使用でき、最近ではカナパで作ったテーブル等も販売されています。更に種子からは上質の食用オイルが採取できるそうです。このオイルは現代人のメタボな食生活を改善するのに最適だそうですよ。

最近、フェッラーラ、ボローニャにカナパ製品専門のお店も出始めました。その名もBottega delle canapa カナパのお店。現在では進んだ技術により、随分と織りの細かいカナパ生地も見つけることができます。
カラフルなTシャツ、リュック、手提げ、下着類等も色とりどりです。そしてカナパのオイルを使った化粧品等も揃っていてなかなか商品が豊富です。カナパの食用オイル、ビール(カナパの花から作るそうですよ!)も販売しています。

このカナパ再生産運動には一時期、あの有名なイタリアブランド、アルマーニも乗り出したそうですが、うやむやのうちに自然消滅。
フェッラーラの生産拠点も最近火災に遭う(!…ノーコメント)等、なかなか一筋縄にはいっていないようですが‥…。


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              「カナパのお店」の石鹸シリーズ

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         そしてカナパの種。サラダに振りかけると香ばしくなります!

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     カナパの種。食べると楽しくなる♪なんて事はありません。あしからず…。



カナパが再びフェッラーラの特産品となる日は来るのでしょうか?!
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by concordanze | 2010-06-12 02:51 | Vita quotidiana 生活 | Comments(0)

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